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接触禁止条項
示談するとき、相手に不貞関係を解消させ、二度と連絡を取らないと約束させる場合があります。
接触禁止条項と呼ばれ、不貞がなくても、接触(連絡)しただけで違約金が発生するようにしておけば、不貞の再発を防止するのに有効です。
職場不倫などで、全く接触しないということが不可能な場合には、「業務上必要な場合を除いて」という条件を付することもあります。
いつまで有効か
接触禁止条項は不貞を止めさせるのが目的です。
しかし、接触禁止を約束した後でも、離婚した場合は、本来、元配偶者が誰と交際しても自由なはずです。
そのため、離婚した場合、合意の効力が失われる可能性があります。
まれに、離婚するけれども、感情面で、交際は解消してほしいという人もいますが、このような合意に法的拘束力が認められるかは微妙なところです。
独身の恋愛という本質的に自由な領域を拘束する合意は、公序良俗違反などで無効と判断される可能性もあります。
しかし、有効・無効の判断をした裁判例は見当たりませんので、無効の可能性があるということを十分理解した上で、接触禁止条項を付けることは可能です。
交渉上の留意点
慰謝料を請求されている側からすれば、接触禁止条項に応じないということは、これからも連絡を取るということを自白するに等しいと言えます。
他方、慰謝料を請求する側からすれば、接触禁止条項を付けたいという希望は、相手に交渉材料を与えることにもなります。接触禁止条項に合意する代わりに慰謝料を減額するように求められるという展開も考えられますから、慎重に交渉する必要があります。