暴露行為について

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不貞事件で良くある暴露行為

不貞事件では、次のような行為が行われることが良くあります。

  • 親に暴露する
  • 会社に暴露する
  • 突然自宅に来て騒ぐ
  • SNSで公表する

特に、親や会社に暴露する行為は、「正当な行為であって、嫌がらせではない。」と思っている人も珍しくありません。

しかし、不貞という私的な問題を第三者に暴露する行為は、名誉毀損・プライバシー侵害として、違法の評価を受ける可能性があります。

弁護士を入れる効果

W不倫事案で、妻の不貞を知った夫が、不貞相手の妻に対して、暴露行為をしたことについて、20万円の慰謝料を認めた裁判例があります。被告は、不貞を止めさせるためと弁解しましたが、認められませんでした。

原告と被告は、遅くとも平成28年1月以降、本件両代理人弁護士に対して原告とAの不貞に関する紛争の解決を委任していたのであるから、まずは代理人を通じて注意や確認等をすべきである。被告が、そのような段階を踏むことなく、B(不貞相手の妻)に対して原告とAの不貞関係を告げたり、弁護士から原告と直接接触しないよう注意を受けたにもかかわらず、原告方の近くに連日赴き、原告の動静を確認するとともに、原告に対してBへAが中絶手術を受けたことを告げる旨明に暗に示す方法で面談を申し入れ、謝罪文の提出を求めたりしたことに、正当な理由があるとはいえない

東京地裁令和元年10月24日

この裁判例から分かるように、弁護士が付いていれば、まず弁護士を通じて話をするべきであると判断され、名誉毀損やプライバシー侵害が認められる確率が高くなります。

弁護士から、このような裁判例を根拠に、相手方に暴露行為に及ばないよう警告することも可能です。

暴露が不法行為と評価されなかった例も

東京地方裁判所令和2年1月28日は、以下の事実について、社会通念上相当な範囲を逸脱したものとは評価できないとしました。

  1. 被告は,平成31年1月9日,原告の職場に電話し,上司が電話に出たところ,「□□さんはいますか。」と言った。上司が原告に電話を代わり,原告が「□□です。」と言ったところ,被告は名前も名乗らず無言のまま数秒後に電話を切った。
  2. 被告は,平成31年1月19日,原告の自宅を訪れ,平成29年9月以降,原告がAと不貞関係に至り,被告らの家庭生活が崩壊したことから精神的苦痛を被ったなどとして不法行為に基づく損害賠償として300万円の支払を求める旨の通知書を手渡しした。
  3. 被告は,平成31年1月26日,原告の実家を訪問し,原告の両親に対して,原告とAの写っている写真を示し,写真は探偵が撮ったものであること,原告とAが平成29年9月頃から不倫関係にあること,同月28日に被告から電話をするのでそれまでに原告に事実確認してほしい旨告げた。
  4. 被告は,平成31年1月28日,再び原告の実家を訪問した。
  5. 平成31年1月31日,被告は原告の職場を訪問した。原告は警察に通報し,警察官が臨場し,その後,被告は警察署において厳重注意を受けた。
  6. 原告は,平成31年1月28日,原告代理人に依頼し,その後,原告代理人は,被告に対し,複数回電話をしたが,被告は電話に出なかった。そこで,原告代理人は,被告に対し,原告本人,原告の親族,原告の職場等へ直接・間接の接触をしないように郵便で通知した。
  7. 被告は,平成31年9月,原告の元夫の職場(同人が経営する歯科医院)を訪れ,原告とAが交際していることなどを原告の元夫に伝えた。

この裁判例のように、関係のない周囲の人間に暴露した場合でも、暴言を吐いたり、脅迫したりしなければ、違法と評価されないケースもあります。

ただし、この裁判例では、6番までは原告が弁護士を付けていません。

6番の通知を受け取った後で、7番の暴露に及んでいますが、「元夫」は親族ではないので、被告は、弁護士が付いた後は、接触しないよう警告された人物には接触していないということになります。

もし、弁護士からの警告があったにもかかわらず、親族や職場へ暴露行為に及んでいれば、違った結論になったかもしれません。

早めの対応を

とはいえ、名誉毀損やプライバシー侵害で慰謝料が認められても、第三者に暴露されてしまうと、社会的ダメージは避けられません。早期に弁護士を入れて、相手方の暴露行為を抑止することが重要です。

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