自宅に訴状が届く
仮に、弁護士に依頼して交渉していても、訴訟を起こされたら、裁判所からの訴状は自宅に届いてしまいます。
その後の書類の送付先は法律事務所を指定することができますが、最初の訴状だけは指定できません。
同居の家族に秘密にしている場合には、知られてしまうリスクがあります。
事前交渉の時に弁護士を付けていた場合、裁判所から、「訴訟代理人になる予定があるなら、委任状と送達場所届出書を出してほしい。訴状の送達を法律事務所に行う。」という連絡が入る場合もあります。
ただ、この取扱いは、裁判所が任意に行っているのであって、原則は自宅が送達場所であることに変わりはありません。
勤務先に訴状が届く場合
自宅が不明であるとか、自宅に送っても受け取ってもらえない場合など、就業場所を送達先に指定することができます。
したがって、相手に住所を秘密にしている場合で、勤務先が知られている場合は、勤務先に訴状が届いてしまうことがあります。
勤務先に訴状が送達されると困る場合は、相手に住所を教えた方が良いということになります。
弁護士を付ければ出廷は不要(尋問を除く)
訴訟を起こされても、ほとんどの期日は弁護士だけが出廷することになります。わざわざ平日に裁判所に行く必要はありません。
尋問が実施される場合、尋問期日には本人が行く必要がありますが、不貞慰謝料事件では、尋問まで行かず、途中で和解になることも珍しくありません。その場合、本人は1回も出廷しないということもあります。
また、和解期日が設けられる場合、当事者が出席して和解協議をした方が良い場合もありますが、必須ではなく、弁護士に全面的に任せてしまうこともできます。
ほとんどの期日は非公開
裁判というと、公開の法廷で原告と被告が対峙するイメージがあります。
しかし、民事訴訟は、弁論準備手続という非公開の期日が大半を占めます。最近では、電話会議やWEB会議といった手続も実施されていますが、これも非公開(書面による準備手続)です。
尋問を実施する場合は公開の法廷で行いますが、尋問まで行かずに途中で和解になることは珍しくありません。
期間は6か月~10か月くらい
裁判というと1年以上かかるイメージを持っている人もいますが、争点が少なければ、早期に裁判所から和解勧告がなされ、数か月で終了することもあります。
不貞慰謝料事件の場合、不貞があったかなかったか、あったのであれば慰謝料の額はいくらか、という争いが大半なので、6か月~10か月程度で終了することが多く、1年を超過することは稀です。
和解率は高い
不貞慰謝料事件では、他の事件に比べて、弁護士の経験上、和解になる率が高いと言えます。
事前の交渉では納得しなかった相手でも、裁判官から説得されると納得する可能性が高くなります。
相手が感情的になっている場合や、法外な慰謝料を請求してきている場合などは、むしろ訴訟を起こしてもらった方が、解決が早いこともあります。
ただし、途中で和解することができず、判決になったら、一括払いが必要になります。分割でなければ支払えない場合には、訴訟になっても、和解を目指すことに違いはありません。
訴訟は避けた方が良いか
できれば訴訟を避けたいと言う人は珍しくありません。
大ごとになる印象がありますし、証言台に立つのが不安とか、長期間かかる印象があるからでしょう。
しかし、尋問以外は弁護士だけが出廷できますし、不貞慰謝料事件は1年未満で終わることが大半です。
相手がどうしても納得しない場合には、だらだらと交渉を続けるよりも、訴訟を起こしてもらった方が早い場合もあります。
せっかく弁護士に依頼しても、訴訟という解決手段が使えないのであれば、メリットは半減してしまいます。
どうしても交渉がまとまらないときは、「もう訴訟で」と言ってしまうことで、逆に交渉が促進される場合もあります。