子どもがいることは慰謝料増額事由になる

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未成熟子がいると慰謝料は高額になりやすい

東京地裁平成19年8月24日判決(認容額200万円)、東京地裁平成21年6月22日判決(認容額200万円)、東京地方裁判所平成22年10月7日(認容額400万円)などは、幼い子どもがいることを理由に慰謝料を増額しています。その他にも、子どもの存在を考慮して慰謝料を増額していると思われる裁判例は多数存在しています。

子どもがいる場合には、200万円を上回る可能性が高くなるので、請求する側は、積極的に請求していくべきでしょう。逆に、請求された側は、ある程度高額な慰謝料を覚悟すべきと言えます。

子どもの年齢や人数も影響する

特に、出産したばかりだったり、子どもが幼い場合、精神的ショックが大きいということで、慰謝料が増額される幅が大きくなる可能性があります。また、複数の子どもを抱えて離婚問題に発展すると、これからの生活について、経済不安も出てきますから、子どもの人数が多いと、増額幅が大きくなる可能性があります。

自動的に高額になるわけではない

ただし、子どもがいるからといって、自動的に高額な慰謝料が約束されるわけではありません。慰謝料は、裁判官が裁量で決めるものですから、それ以外の要素(子どもの年齢、婚姻期間、不貞期間、夫婦仲、婚姻関係への影響など)も加味して、総合的に決定されるので、減額要素があれば、低額になることもあり得ます。

特に、もともと夫婦仲が悪かった場合は、婚姻共同生活の平和に対する影響力が小さいという理由で、大きく減額されてしまう可能性があります。不貞は「配偶者と仲が悪い。」とか「離婚するつもり。」などと言って始まることが多いので、この点が争点になることは多いと言えます。

子どもからの慰謝料請求は認められない

親の不貞で家庭が崩壊した場合、子どもも不貞相手に慰謝料を請求したいと思うことがあるかもしれません。しかし、これは最高裁判例で否定されており、慰謝料請求は認められません。

妻及び未成年の子のある男性と肉体関係を持った女性が妻子のもとを去った右男性と同棲するに至った結果、その子が日常生活において父親から愛情を注がれ、その監護、教育を受けることができなくなったとしても、その女性が害意をもって父親の子に対する監護等を積極的に阻止するなどの特段の事情がない限り、右女性の行為は未成年の子に対して不法行為を構成するものではないと解するのが相当である。

最高裁昭和54年3月30日判決

逆に不貞相手が子どもを産んだら?

この場合も、やはり慰謝料額が大きくなる可能性が高いと言えます。子どもが産まれれば、認知や養育費の問題も出てくるため、婚姻共同生活の平和に与える影響は非常に大きくなり、精神的ショックも大きくなるからです。

もちろん、不貞相手は、父に対して認知を求めることができますし、認知されれば養育費を請求できます。この点は、慰謝料とは別問題なわけです。

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