民事訴訟の基礎知識

民事訴訟第一審の流れは、次の画像の通りです。

民事訴訟第一審のイメージ-1

目次

民事訴訟の注意事項

放っておくと負ける

民事訴訟は、答弁書を出して争わないと、自動的に敗訴します。その場合でも、慰謝料は裁判所が決めるので、必ず請求額全額になるとは限りませんが、争わなければ、やはり高額になる傾向があります。

裁判所は主体的に調査してくれない

裁判所は、双方が提出した証拠を公平な第三者として審査するだけです。主体的に調査に動いてくれるということはありませんので、仮に事実無根であったとしても、自己責任で戦う必要があります。正しいことを主張すれば、裁判所が証拠を探してきてくれると誤解している人もいますので、注意が必要です。

証拠が不十分でも真剣に戦わないと負けるかもしれない

立証責任は原告にありますが、だからといって、戦う姿勢を見せなければ、原告の言い分が認められてしまう可能性が高くなります。よく誤解されるのですが、「証拠が不十分だから、適当に否定しておけば大丈夫」という考えは間違いです。「原告の証拠は薄いけど、被告は合理的な弁解をしないから、不貞があったに違いない」というような事実認定がされるリスクがあるので、どんなに証拠が薄くても、きっちり弁解する必要があります。

終わるまで数か月かかる

不貞慰謝料の民事訴訟は、1か月~2か月ごとに期日が指定されるので、半年以上かかることも珍しくありません。

どっちが有利とは教えてくれない場合もある

裁判官は、訴訟の途中で、どっちが有利と教えてくれないことも珍しくありません。これも、よく誤解される点なのですが、なんとなく、訴訟の途中で、裁判官から有利か不利か教えてもらえるというイメージを持っている人がいます。もちろん、和解の調整をする際に、裁判官から心証を教えてもらえる場合もあるのですが、最後まで、裁判官がどう考えているかが分からない場合もあります。

裁判上の和解について

裁判上の和解とは、民事訴訟の途中で、合意が成立した場合、裁判所が和解調書を作成し、それに判決と同じ効果を与える制度です。裁判上の和解には、次の3つのメリットがあります。

双方が合意しているのだから、約束が守られる可能性が高い。
判決は、裁判所が強制するものですから、当事者が納得するとは限りません。世の中には判決が出たとしても、従わないという人間もいます。もちろん、そういった場合には、強制執行といって、判決の内容を強制的に実現する方法があるのですが、費用・時間・手間が掛かります。その点、和解の場合、双方が納得しているわけですから、約束が守られる可能性が高いのです。

控訴することができないので、最終的解決が得られる。
判決は、不服があれば、控訴することができます。自分が判決内容に納得していても、相手が不服なら、控訴審に移行してしまいますので、第一審の判決で必ず終了するという保証はありません。控訴審に移行すると、更に訴訟活動が必要になりますし、追加の弁護士費用が掛かる場合もあります。その点、和解の場合、控訴することができないので、最終的な解決が保証されます。

分割払いや口外禁止条項など、判決ではできない柔軟な解決ができる。
判決には、分割払いや口外禁止条項などは付けることができません。一括で「〇〇円を支払え」という内容になります。支払う方としては、分割払いにしたければ、裁判上の和解を目指すべきです。また、第三者への口外を禁止する約束なども、判決には付けることができませんので、第三者への暴露が不安な場合には、裁判上の和解を目指すべきです。

実は、不貞慰謝料事件では、民事訴訟になっても、裁判上の和解で終わる場合が多いのです。不貞があったか無かったか、不貞があったとしたら慰謝料額はいくらかという点だけが争点になることがほとんどなので、裁判官が間に入ると、話合いが成立しやすいと言えます。

当事者尋問は通常実施される

当事者尋問とは、原告と被告を尋問する手続です。よくテレビドラマなどで観るように、証言台で宣誓をして、原告側・被告側・裁判官からの質問に回答するものです。たとえば、原告側の尋問なら、まず、原告弁護士が原告に質問(主尋問)し、次に、被告弁護士が原告に質問(反対尋問)します。最後に、裁判官から、補充で質問(補充尋問)がなされる場合があります。

よく「当事者尋問は必ず実施しなければならないのですか?」という質問を受けるのですが、不貞慰謝料事件では、ほぼ間違いなく実施されます。慰謝料の額を決めるためには、当事者双方の尋問が必要不可欠だからです。

判決に不服なら控訴できる

判決に不服なら控訴することができます。第一審が地方裁判所なら、高等裁判所に移行します。控訴する場合、控訴理由を提出しなければなりませんが、控訴すること自体は権利なので、正当な理由がないと控訴できないということはありません。自分が判決に納得していても、相手が控訴するということはあり得ますし、弁護士によっては追加着手金が発生することもありますので、第一審で和解のチャンスがある場合には、真剣に検討する必要があります。

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